2021年4月15日木曜日

仏法の立場から世法へ呼び掛け  大本山光長寺開基会法要で

 

仏法の立場から世法へ呼び掛け

 大本山光長寺開基会法要で

 岡宮の大本山光長寺(原井日鳳貫首)5日、開基会法要が営まれた。



 同寺を本山とする法華宗の寺から50人程の僧侶が訪れ、同寺の総代、世話人、八品講の人などと共に法要が厳かに行われ、国の平和と安全、併せてコロナ禍の収束を祈祷した。

 法要に先立ち午前中にはコロナ禍で継目式をここに集約した、僧階が上がる辞令式が行われたことから、遠くは九州、四国、北関東からの僧侶の姿も。

 当日は同宗派の宝とも言える宗祖御真蹟「二十八紙大曼茶羅」を開展し、その意味するところを考察した。

 法要後、本堂に参集した人達を前に、原井貫首が仏法の立場から世法へ呼び掛けた。「空、海、山、川を汚す環境破壊から今の困難が生まれている。即ち利益優先の文明から人の命を大切にする文明への大転換を図らねば人間が滅びる」と警告し、「日本の不幸は官僚が国民に向き合っていないこと。衆愚政治に陥ってしまっていること。次々繰り出される事柄に対して疑問が募ってくる」とし、特に今のミヤンマー情勢にも触れ、「軍人が国民を殺す異常事態に、同じ仏教国の人間として心を痛めている。ミャンマー国民は日本人にSOSを出して頼りにしているのに日本の政治家は動かない」と憤った。「日本は本当はビルマ(ミヤンマー)に対して責任がある」とビルマ独立に際しての歴史的な経緯にも触れ、「実践仏教と非暴力を唱える仏様の子どもであるビルマ国民を殺すのをすぐにでも止めなければ」と危機感を募らせた。

 開基会法要という大事な席で、あえて皆に訴えかけたのには理由があった。「儀式も疎かにはできない。しかし、人の苦しみをどのようにしたら取り除けるのか、仏教が、なぜ生まれたか、煩悩を断ち切ってではなく、煩悩という生きるエネルギーをそのまま信じる力に変えていく『心の蘇生』を図るべし。坊さんはお題目だけ唱えていればいいわけはなく、まさに『環境安国論』を実践していきたい」と強く語った。

 8日には釈迦降誕会法要が行われ、「はなまつり」を祝った=写真。 なお同寺では「桜・光長寺」をテーマにしたフォトコンテストの作品を今月末まで募集している。

【沼朝令和3415日(木)号】

2020年5月16日土曜日

疫病はなぜ起こる 杉本日宣


疫病はなぜ起こる 杉本日宣
 
いつの時代も疫病(伝染病・感染症)や地震、津波、台風、集中豪雨等の被害により多くの人が犠牲となります。鎌倉時代の祖師の書物『立正安国論』にも当時の惨状が記されています。
 「近年より近日に至るまで、天変・地夭・飢饉・疫癘、遍く天下に満ち、広く地上に迸(はびこる)。牛馬巷に斃れ、骸骨、路に充てり。死を招くの輩、既に大半に超え、これを悲しまざる族(やから)敢て一人もなし」
 このような状況に対し、日蓮聖人は、この国を憂い災害の起こる根本原因を宗教的立場から究明しようと、駿河国岩本の実相寺(現富士市岩本)に三年余り止宿し、一切経蔵(釈尊の説かれた経典、釈尊滅後の重要な論疏)を研鑽されました。
 祖師は多くの経典から『金光明最勝王経』『仁王般若経』『大集経』『薬師経』の四経を引用し、国難、災禍の原因は「時の権力者から一般民衆まで、邪法を信じて正法を護持しないので、善神や聖人は国・民衆を見捨てて去ってしまい、好期とばかり悪鬼が乱入し災難が起り、国家も衰退する」と
断じました。
 今回の新型コロナウイルスは中国の武漢から流出したと言われています。中国と日本の交流は皆様もご存知のように、遣隋使・遣唐使に始まり、日本は中国の仏教を積極的に取り入れ、今ある日本仏教の各宗派は中国から伝播(でんぱ)しています。その意味からも日本仏教は中国に恩があります。
 先ほどの『金光明経』など『四経』も元々はインドから中国に渡り翻訳された経典であります。
 中国仏教の現状は分かりませんが、経典は預言書でもあり、「この経が正しく広まっていれば世の中は泰平であり、この経典が廃(すた)れ忘れられれば、この国を護(まも)るものが去ってしまい、さまざまな災害が起こる」、具体的には、外国から攻められる、国内の反乱、星座の運行の変異、日食・月食がたびたび起る、季節ちがいの悪風雨、飢饉、疫病(悪病の流行で、民衆が多く死す)などです。現代の中国・日本、世界各地の様子にも符合いたします。
 富士市の「毘沙門天」は節分時期の「ダルマ市」でも有名ですが、「毘沙門天王」は国土の東西南北を護る北の守り神であります。東は持国天王。西は広目天王。南は増長天王。北が毘沙門天王(多聞天王)
 この四天王が先の『金光明経』で、仏さまに申し上げた。
 「ある国にこの『金光明経』があったが、国王はじめ民衆も、この経を尊崇しようとはしなかった。そのため四天王はじめ護国の善神も法味(仏法・経典の深い味わいを食物の美味にたとえる)を聴く(味わう)こともできず、四天王の威光も衰え、眷族の諸天善神、聖人も所を辞去し国は乱れ、結果さまざまな国難が起きる」
 仏教には多くの守り神、諸天善神がいます。「毘沙門天・持国天王・広目天王・増長天王」の四天王。梵天・帝釈天。日月・衆星。山門の左右の仁王さま(金剛力士さま)。鬼子母神・三十番神など。
 これらの守り神には、釈迦牟尼世尊が説かれた教えを護るという誓いがあります。
 鎌倉時代の祖師は『如説修行釥』の中で、「正しい教えが広まり栄えるならば、枝をならすような強風は吹かず、土を撥ね上げるような雷雨にはならない。代()は飢饉とかもなく、きちんと作物も収穫でき、今生きている私たちの日常的な不詳の災難は払われ、長生(長命を保つ)の術(手段)を得て、人も法も不老不死の道理が明らかになる。現世(今生きているこの世)は安穏(安らかで穏やか)である」
 これらのことは証文として経典に説がれており、まったく疑いのないことであると示されております。
 正しい教え経典は、国家を護り、地域を護り、家庭、私たち一人一人もお守りくださるのです。
 新型コロナウイルスで亡くなられた寿々のご冥福をお祈りし、早期の完全終息を祈念いたします。
(沼津市仏教会会長・正見寺住職、下香貫八重)
【沼朝令和2516日(土)寄稿文】